清話会セミナー’13年07月:講演要旨④

【講演名】「生前贈与」から採る賢い相続税対策

2013年7月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。

生前贈与から考える相続税テクニック

構成:今野靖人(清話会)

孫の教育資金への期間限定非課税措置

 今年4月、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が設けられた。孫1人当たり1500万円までの贈与を非課税とするもので、適用は平成271231日まで。この制度を利用するには、金融機関に孫名義の口座を開き、受贈者の納税地の所轄税務署に、教育資金非課税申告書を金融機関経由で提出しなければならない。受贈者は払い出した金額を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を、金融機関に提出することが求められる。

1500万円までなら、今年500万円、来年500万円というように複数回に4分けて贈与することも可能。使い残した資金に対しては、孫が30歳になった時点で贈与税が課税されることになる。

この教育資金は中学、高校、大学や専門学校など、文部科学省の定める学校の学費のほか、トータルで500万円までなら学習塾やスイミングスクール、稽古事などの費用にすることも認められる。孫2人なら3000万円、3人なら4500万円と、非課税になる額が大きいので、利用価値の高い制度と言えるだろう。何より、教育資金を提供して孫に喜ばれるのがありがたい。

将来的には結婚資金の贈与などにも非課税枠を設けようとする動きがある。経済はお金が回らないと成長しないので、このような措置が今後拡大する可能性は大きいのではないだろうか。

節税につながる諸制度を効果的に活用するには、前述したように計画性が何より重要である。的確な資産把握と早期の対策で、大切な資産をできる限り有効活用していただきたい。

なお、相続の場合の税務調査は約30%が対象となり、原則として3年以内に行われる。預金通帳の入出金の流れなどをきちんと説明できるようにしておくことも、必要以上に課税されないための対策となることを覚えておきたい。