今の時代こそ必要な税の知識と利益を生むしくみ
2009年12月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。
軽減税率の引き下げと交際費等の損金算入
経営者の皆さんが思い浮かべる税といえば、まず法人税、そして所得税、消費税、相続税ではないでしょうか。ちなみに税は約50種類ありますが、私たち税理士が取り扱っているのも、それらの税に関することがほとんどです。
税には、国税や地方税、直接税、間接税など、さまざまな区分がありますが、それらは税の捉え方によって変わっているだけで同じ税を示している場合もあります。
例えば、どこが課税するのかで区分すると国税、地方税となり、誰に対して課税するのかと捉えれば法人税、所得税となります。どの時点で課税するのかで区分する流通税などもあります。また、課税対象者と納税者が同じであれば直接税、異なれば間接税と区分します。
ちなみに、日本ではじめて近代的な税が登場したのは、明治20(1888)年の所得税で、スタートした当時の税率は1〜3%だったそうです。その後、昭和15(1940)年に法人税が所得税から枝分かれし、昭和22年から申告納税のシステムがはじまりました。
さて、さまざまある税ですが、経営者にとってもっとも興味があるであろう法人税について、現在の税制で押さえておきたいポイントから説明します。
法人税は、企業の所得金額に対して課される税のことで、利益が出てはじめて発生する税です。経営者ならば、決算時期に顧問税理上から法人税申告書について説明を受けたことがあると思います。その際、法人税の計算は、決算書に記載されている「当期純利益」の金額に基づいて行われます。
法人税率は原則30%ですが、2009年4月から資本金1億円以下の法人については、年800万円以下の所得金額に対して、軽減税率が22%から18%に引き下げられました。
法人税は利益が出なければ課税されることはありませんが、会社を経営する以上、利益の追求を放棄するわけにはいきません。当然ですが、法人税率は引き下げられるに越したことはないでしょう。
資本金が1億円以下の法人については、「交際費生寸の損金算入」が認められることも、押さえておきたいポイントです。
これは、会社が支出する交際費を600万円の90%(540万円)を限度として損金算入することが認められています。
ただし、算入が認められていない残りの10%の金額については、法人税が課税されます。そのため、例え当期純利益が0円であっても、交際費で損金算入が認められない金額がある場合は、法人税を支払うことになります。この点は十分に注意してください。
つづく