今の時代こそ必要な税の知識と利益を生むしくみ
2009年12月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。
決算書の分析をシミュレーション
ここまで、貸借対照表から分析することを紹介しましたが、決算書の分析方法はそれだけではありません。ほかにも、いろいろな見方をしてみることをお勧めします。
部門別や事業別、変動費と固定費で分類して分析することもできるでしょう。
また、改善ポイントを見つける分析だけでなく、仲びている数字をさらに仲ばすための分析もあります。
私がお勧めしている分析方法の1つに、「粗利を1%上げるとどうなるのか」「固定費を1%下げるとどうなるのか」など、決算書でいわば「シミュレーションゲlム」をしてみることがあります。
これをお勧めしている理由は、例えば、人員削減をせずに乗り切る方法などを、さまざまなパターンでシミュレートすることで発見できる可能性があるからです。
私個人としては、経営状態が厳しくなったとき、真っ先に人員削減を行うのは、これまで育ててきた人材の損失という音山味で、結果的に経営状態の回復を遅らせることになると考えています。経営状態が上向きになり、「さあ、これから」というときに、また一から新しい人材を育てていくのは時間もかかり大変な仕事です。
いずれにしても、この「シミュレーションゲーム」は、経営計画を立てる際にも、立てた後の確認にも使えますので、ぜひ試してほしいと思います。こうしたなかから、売上が50%ダウンしても利益が生み出せる経営計画を立てることが可能になるかもしれせん。
結びに、税理士として、経営者の皆さんにお伝えしたいことがあります。それは、節税が先にあるのではなく、まず会社として利益を生み出すしくみをつくることが重要だということです。しっかりと利益を生み出し、きちんと納税する。これが成り立たないことには社会が成立しません。
私たち税理士の仕事は、利益を生み出した会社が、適正な納税額となるように考えること。それが節税のあるべき姿だと考えています。そのために、顧問税理士には納得できるまで何度でも質問してください。そうしたコミュニケーションが経営者と顧問税理士の信頼関係を築くことにつながり、節税対策に結びつきます。
今日の話が、皆さんの会社の利益を生み出すことに役立てば幸いです。