清話会セミナー’11年06月:講演要旨②

発展する会社・お金を残す節税とは

2011年6月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。

相続税はなぜ増額されるのか

相続税については、増税となるだろうとする内容を解説したい。

まず、基礎控除と死亡保険金非課税額を決める際の条件が変わる。基礎控除は減額される。

1世帯当たりの定額控除は現行では5000万円だが、これが3000万円になるとみられていおり、実に4割カットとなる。そして比例控除は1人当たり1000万円から600万円となる。

奥さんがいて、子どもが2人いる家庭ならば基礎控除は定額控除5000万円、比例控除1000万円×3人=3000万円となり、計8000万円だった。それが、定額3000万円、比例600万円×3=1800万円。基礎控除は合計4800万円となり、3200万円減となる。

さらに相続税率も変わる。相続する資産が1億円までならばそのままだが、2億円以上3億円以下なら45%と5%アップする。3億円以上6億円以下は変わらず50%だが、6億円以上だと55%とやはり5%上がる。

現在、相続税を納めているのは国民100人当たり約4人、割合にして4%。今回の改正案が実施されるとこれが約6人、割合にして6%まで増えると財務省は試算している。これまで相続税が一番低かったのは1968年の2・1%であり、それを考えると4%の税率はそこまで低いものではない。にもかかわらず、税率をさらに上げようというのだから、厳しい時代になったものである。

とはいえ、資産を持っている方ならば、相続は、1度は通らないといけない道である。日ごろから自分の資産はどの程度あるのか把握し、早いうちから相続に向けた準備を賢く進めておきたいものだ。税理士に相談し、資産を次の世代に効率的につなげるための対策を施す。税金を現金で支払えず、土地などを物納する事態は何としても避けたいものだ。

今回減税の公算が強い贈与税は、もらう人によって税率が異なることになりそうだ。「父母から20歳の子」がもらう場合、現行と改正案で税率が変わる。700〜800万円程度を贈与する場合、減税率が20%を超え最も高くなる。

このメリットは大きく、資産を持つ経営者の方が、子どもにビジネスをさせるようなときには、銀行通さず資金調達するやり方も出てきそうである。

これが、国が示す税制改正の大まかな方向である。少し前まで国はこのような絵を描いていた。