発展する会社・お金を残す節税とは
2011年6月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。
知っておきたい節税テクニック
さらに細かい節税方法をいくつか紹介していきたい。
まず役員報酬の設定について。所得税は超過累進課税方式であるため、役員報酬が上がれば税金も高くなる。ただし役員報酬を多く払うと、今度は会社が支払う法人税が下がる。
この収支を計算すると、役員報酬を1200万円払ったときよりも、1500万円払ったときのほうが税金の総計は安くて済む。2000万円ではさらに安くなる。2400万円支払うと今度は増額となるので、2000〜2400万円が最適な役員報酬であると分かる。このような精査を常に行い、役員報酬と会社の利益をセットで考えることで可能になる節税もあるのだ。
社員の人件費でも節税の施策を打てる。簡単なのは社員を雇用契約から請負契約に変更するもの。すると人件費が消費税対象となる。また、利益が出た場合は決算賞与を出すのも手であり、利益を圧縮するための1つの方法となる。社員のモチベーション向上につながるメリットもある。
「逓増定期保険に年払いで契約する」ことにも魅力がある。逓増定期保険は、保険料の半分を損金に計上できる。
ポイントは「年払い」であり、一括で年払い契約するとその総額の半分が経費扱いとなるので、利益の圧縮に効果的である。保険を解約した場合は解約返戻金から資産計上額を除いた金額が利益となる点に注意が必要だが、会社に損失が出た期に保険を解約して補填することも想定し、長期的視点で検討したい。
さらに、売上債権の貸倒損失も知っておきたい。これは、売掛債権について「取引停止後に1年以上経過するなど一定の事実が生じた場合」は貸倒損失として計上できるというものだ。
経営者の退職金を用いた節税もある。退職金には、退職金から控除額を引いた額の1/2である退職所得に対してのみ税金かかる。
退職金として会社から経営者へお金が渡る際の税金は報酬にかかる税金に比べ安く、支給自体が効果的な節税となる。
また、退職金の原資に解約した生命保険を充てることも可能。死亡時の弔慰金の支給規定をつくれば、役員の死亡時に退職金とは別に弔慰金を支給できる。遺族が受け取る弔慰金にも相続税はかからないので節税となる。
ポピュラーな施策としては、贈与税の非課税枠の活用がある。年間110万円までの贈与は無税であり、同枠を長期間使い続ければまとめて贈与や相続するのに比べ、大幅な節税となる。
「預金間で振り込む」「贈与契約書を取り交わす(贈与者は保管しない)」「毎年同じ額にしない」などの点に注意したい。