今の時代こそ必要な税の知識と利益を生むしくみ
2009年12月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。
22年度税制改正で税負担はどう変わる
次に平成22年度税制改正について、皆さんに関係すると思われるポイントを紹介します
まず1つ目は法人税ですが、「租税特別措置の見直しで課税ベースが拡大した際には、企業の国際競争力や国際協調などを勘案しつつ、見直す」とされ、実質引き下げは見送られたかたちとなりました。
しかし、現在の日本の法人税古学は約41%と、ほかの国々と比較しでもトップの高さで、このままでは国際競争力の維持・強化が難しいばかりか、長期化する不況を脱出することも危ぶまれます。
実際に、国際競争力を維持・強化するため、イギリスやドイツ、カナダなど法人税率を10%近く下げている国もあります。ぜひとも見直しを期待したいところです。
2つ目は、中小企業の軽減税率について。現行の18%から11%への引き下げが民主党のマニフェストに明示されていましたが、こちらも「課税ベースの見直しによる財源確保などと合わせ、早急な実施に向けて検討」とされ、実質見送られました。
さらに、一定の設備を取得した場合に特別償却または税額控除が認められる情報基盤強化税制も、マニフェストには廃止と明示されていましたが、基本的には継続延長されています。
3つ目は、特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限の廃止。これは先に説明した役員報酬の「二重控除」を避けるために設けた制度でした。
しかし、役員給与の一部を損金に算入すこのることを認めない場合、それは法人経費となりません。そのため、法人税が課税され、さらに役員給与を受けた個人も所得税を支払う「二重課税」になるため、マニフェストに掲げたとおり廃止されました。
また、交際費の非課税枠や投資促進税制、少額減価償却資産の損金算入特例など、中小企業向けの租税特別措置の多くは、適用期間の延長がすでに決まつています。
そのほか、所得税で押さえておきたいポイントもあります。
平成22年度の子ども手当の導入を機に、15歳以下の子どもを対象とする扶養控除を廃止。23〜69歳が対象の成年扶養控除は維持し、16〜22歳が対象の特定扶養控除は、高校耐賠償化の恩恵を受ける16〜18歳に限って上乗せ分のみ縮小されます。住民税も同様の措置となります。
また、話題になっていた給付付き税額控除は「社会保障制度の見直しとあわせて検討を進める」とし、今回の導入は見送られました。
最後のポイントとして、住宅取得資金贈与の非課税枠が現行の500万円から1500万円へ大幅に拡大。不動産市場の活性化が景気の底上げにつながることが期待されます。
つづく