今の時代こそ必要な税の知識と利益を生むしくみ
2009年12月に清話会にておこないました講演の要旨をまとめました。
利益を生むしくみは「組織」づくり
税について押さえてほしいポイントはひととおり説明しましたが、その知識を活かすには、皆さんの会社に「利益を生むしくみ」がつくられていなければなりません。そのしくみのつくり方について、いくつかのヒントを紹介します。
私が考える利益を生むためのしくみには、次の3つのポイントがあります。
①「感じて、考えて、行動する」
②「人脈づくりと人材育成」
②「経営計画をつくる」
①は、日ごろから売れるものやサービスを見つけるための「感性」を磨き、どうやったらそれを売ることができるのかを「考えて」、それを素早く「行動」に移すことです。
②は、人と人とのつながりを大切にすること。まずは、社内外を問わず、できるだけたくさんの人と情報交換を行うことです。多くの情報を得ることは、それだけ新しい商品やサービスを生み出す機会を増やします。
また、社内においては、人材育成を積極的に行わなければなりません。人材が育たなければ、生産性は上がらず、利益は生まれません。
③は、経営計画の捉え方です。
利益を出すための方法を徹底的に考えたうえで、計画をつくる姿勢を持ち続けることです。この3つのポイントをセットにして取り組んでいくことで、利益を生むしくみがつくられていきます。
勘のいい方は気づかれたと思いますが、これは「組織づくり」そのものですっ私が考える利益を生むしくみとは、付加価値を生み出せる組織をつくることにほかなりません。
そして、組織づくりの設計図ともいえるのが経営計画であり、経営計画を立てるために必要なのが決算書の分析です。
決算書は、いわば会社の健康診断書。それを細かく分析していくことで、会社のどこに問題があり、どう改善すべきかがわかるのです。
ただ、1つだけ注意してほしいことがあります。それは損益計算書ではなく、貸借対照表をもっとも重視することです。経営者は損益計算書を一番気にしがちですが、そこに記載されているのは、貸借対照表と連動した、具体的で詳細な「結果」です。
もちろん、結果から分析でさることもありますが、決算書の分析は「利益を生み出すための経営計画」をつくることが目的。そこには、新しいことにチャレンジしようとする前向きな思考(私はそれを「未来思考」と呼んでいます)が必要です。
貸借対照表には、経営者の考え方や在り様が表れています。例えば、表中の「資産の部」で同定資産の金額が大きければ、資本力があることがわかります。
一方、「負債・資本の部」で長期負債があれば、長期借入ができるだけの信用力があることがわかる。
そうして読み取ったことを組み合わせていくと、この資産と高い信用力を活かして何ができるのか、とイメージを膨らませていくことができます。ですから、まずはじっくりと貸借対照表を見てください。新しい発見があるかもしれません。
ともあれ、要は「結果」である損益計算書からではなく、経営者の考え方が見える貸借対照表から分析をはじめることで、
経営計画が前向き広利益を生み出そうとするものになるのです。
つづく